絶体絶命の転生ライフ、カタブツ騎士団長の溺愛にたじたじです ~追放された子猫は愛妻にジョブチェンジ!?~
 すると、なるほど……。同行する部隊員らの表情が、一様にどんよりと暗い。特に、公式文書作成のため今回の会談に王宮から派遣されて同行していたグレス書記官に至っては、顔面蒼白で今にも卒倒してしまいそうな有様だった。
 俺はうしろを振り返ったまま、鼓舞するように告げる。
「皆、そう心配せずともこの森は恐れるに足らん。俺は以前にこの森を訪れたことがあるが、自然の恵み豊かな動植物たちのオアシスだったぞ。それに鬱蒼としているように見えて、ちゃんと騎馬で進める小道もあるのだ」
 この小道の存在こそ、地元民が日頃からこの森を通行している証拠だ。推察するに、隣国スブレ共和国に行く際の抜け道に使用されるのを厭った地元民らによって、こんな恐ろしげな呼び名や噂が広められたのだろう。
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