懐かしい前世の夢を見ながら、わたしは深い森の中で目覚めた。
 今、わたしが小さく体を丸めて横になっているのは、太い老木の根もとにぽっかりと空いた穴。ここは、ほかの仲間たちには内緒のわたし専用の寝床だ。
「……ん。もう朝?」
 持ち上げた指先で重たいまぶたをこすり、睫毛を揺らしてゆっくり開くと、東の空が白み始めていた。
 わたしは横寝の体勢からそっと上半身を起こした。その際、支えに突いた腕は華奢で、一糸纏わぬ裸体も日々の栄養不足によって全体的に小さく、折れてしまいそうに細い。肌は日焼けを知らない透き通るような白さで、腰まで伸びた豊かな髪はまるでそれ自体が発光しているかのような白銀だ。
 この髪色がこの世界で一般的なものなのかは、森を一歩も出たことがないわたしには知る由もないけれど、前世の感覚からするとおばあさんのようであまり好きではなかった。ちなみに、わたしが『前世の感覚』と言ったのは間違いでもなんでもない。
 どんな神様の悪戯か、わたしは日本で月乃として生きていた記憶を持ちながら転生を果たし、現在は――。