アゲハ蝶は、クローバーを一人占めしたい
物語のように
ネックレスをプラプラさせて言ってきた四門に、対当する四葉。
「え……」

「四葉」
「お父様…」

「…………言ったよな?
揚羽には、関わるなと」

「お父様、ネックレス返して!」
四葉は飛びかかるように、ネックレスを奪う。
その衝撃で、ブチッとネックレスのチェーンが切れた。

「あ…!!?酷い…こんな、ことって…」
四葉は目を潤ませながら、ネックレスを両手で包み込んだ。


それから一言も話さず、屋敷に帰った四葉。

夕食もとらず部屋に籠った。
そして、ベッドに潜り込んでいた。

「チェーン…直さなきゃ…
せっかく…揚羽くんが、プレゼントしてくれたのに…
揚羽くん…揚羽くん……会いたいよ……」

すると揚羽から連絡が入る。

「あ!揚羽くん!
━━━━━もしもし!?揚羽くん!?」
『もしもし?四葉、ごめんね。電話するの遅くなった』
「ううん」
『……………泣いてる?』
「ううん」
『電話、遅くなったから怒ってる?』
「ううん」
『ほんとに?』
「ううん」

『…………フフ…どっち?』

「泣いてないし、怒ってないよ」
『でも、元気がない』
「揚羽くん」
『ん?』

「会いたい」
『…………四葉?どうしたの?』

「ロ◯オ&ジ◯リ◯ット、知ってるでしょ?」
『うん』

「その、ロ◯オみたいに会いに来て。
壁をよじ登って、窓から入ってきて!
そしたら私は、今日ずっと揚羽くんの傍にいれる」

『………四葉?どうしたの?なんか、四葉らしくない……』

「あの物語みたいに悲しい最期は嫌だけど、二人の気持ち……物凄くわかる。
揚羽くんが、揚羽くんじゃなきゃ良かったのに……」
『………』
「………」
しばらく、沈黙が続く。

「ごめんなさい…変なこと言って……
今の冗━━━━━━」

『…………いいよ』

「え?あ、ち、違うの!!
冗談だよ!ジョーク!」

『うーん。無理だよ!
僕からすれば、それは冗談じゃ済まされない!』

「ごめんなさい!ちょっと、辛いことがあってつい……ど、どうしよう。
あ、そうだ!私、もう眠くて!
もう寝るから、また明日ね!
ほんと、気にしないでね!おやすみなさい、揚羽くん」

一方的に言った四葉は、ブチッと通話を切るのだった。
「はぁー、私……何言ってるんだろ……」
四葉はネックレスを握りしめ、呟くのだった。


一方の揚羽━━━━━━
そんなことを言われて、おとなしくできるわけがない。
愛してやまない四葉に“会いに来て”と言われたら、もう…行かなければ気が済まない。

揚羽は準備を済ませ、四葉の元に向かうのだった。

早々に九重の屋敷に着いた、揚羽。
四葉の部屋を見上げた。

そして“ふぅー”と息を吐いて、壁に縄をかけよじ登った。
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