離婚するはずが、エリート警視は契約妻へ執愛を惜しまない~君のことは生涯俺が守り抜く~
4(永嗣視点)
 彼女の生まれ年の赤ワインをプレゼントすると、風香は「何もお返しできないのに」と柳の眉を下げた。


「どうしたらいいでしょう……」

「素直に喜んでくれたら嬉しいんだが」


 俺はただ、君が喜ぶ顔が見たい。
 なぜだか分からないけれど。

 俺の言葉に、風香は何度か瞬きして──それから俺を見上げて笑った。

 幸せそうに、笑った。

 胸の辺りがほくほくと温かくなる。
 この感情の名前を、俺はまだ知らない。
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