儚く甘い
過去からの使者
「おはよう」
「おう」
朝、みわが大学に着くと校門で達哉が待っていた。
何となく恥ずかしくて、でも何となくうれしくて、みわは何も言えないまま近づき達哉の隣に立つ。
達哉もどこか恥ずかしくて、何も言わずに大学の構内に向かい歩き出す。

くすぐったいような二人の距離。
近すぎず決して遠くはない距離。
でも、何かが変わっていることに二人は気づいている。

「みわー」
いつものようにみわを呼ぶ友人たち。
その度にみわは少し恥ずかしそうに、手を振ってこたえる。

最近、達哉と一緒にいることが増えて友達と一緒に過ごす時間は減っている。
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