儚く甘い
その番号を指でなぞろうとした瞬間、勝手に画面が発信操作してしまう。

慌てて切ろうとした瞬間『はい』と、低い声が聞こえた。

絶対に出ないだろうと思っていたその人は、ワンコールで電話に出る。

あの日も同じだ。


この人はどうして・・・こうもタイミングがいいのだろうか・・・


『もしもし?』

もう一度聞こえたその声に、みわは無意識のまま言葉を発していた。


「・・・助けて・・・」と。
< 79 / 356 >

この作品をシェア

pagetop