好きだけど、好きなのに、好きだから

*優里亜先輩×誠さん

「優里亜いる?」

部室のドアが開き、誠さんが入ってきた。

「誠は、優里亜、優里亜って。本当、優里ちゃんいねぇとダメだよな」

誠さんと同じ三年の先輩、孝太さんが呆れたように答えている。

「うるせぇよ」

「あはは」

部室にいる三年の先輩達から、笑いが起きた。

誠さんは俺に、優里亜先輩との仲をひけらかすようになった。

先輩の肩に、手を回す誠さん。

先輩の頭を、撫でる誠さん。

先輩の頬に、触れる誠さん。

明らかに、俺に見せつけている。

あーっ、うぜぇ。

俺には、どうでもいいことだ。

そう思っていた。
< 55 / 97 >

この作品をシェア

pagetop