好きだけど、好きなのに、好きだから
次の日。

朝練前、部室でキャプテンと二人になった。

「昨日は、すみませんでした」

「いや、俺らはただ優里亜が心配で。マネージャーでもあるけど、俺らにとっては大事な幼馴染みでもあるから」

キャプテンが、少し照れくさそうにしている。

「あっ私情をはさんで、悪い」

「いえ」

先輩は、大事にされてんだなぁ。

「優里亜は、頑張ってる佐伯を応援したいんだろうな」

キャプテンは、そう言って俺の肩を叩いた。

部室を出ると、優里亜先輩と誠さんが廊下で話している。

「佐伯君、おはよっ」

「おっす」

先輩と挨拶を交わした後、誠さんを見る。

誠さんにも、謝るべきか……

「おい佐伯!」

「うっす」

俺は面倒くせぇと思いつつ、俯きながら話を聞く。

「優里亜がどうしてもお前の練習に付き合いてぇって言うから、しょうがねぇけど。手出すんじゃねぇぞ」

「誠さんじゃねぇし」

そのやり取りに先輩は笑っているけど、誠さんはマジな顔してる。

ったく、この人は先輩のことになるといつもこうだ。

バスケの時は、まともなんだけどな……

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