好きだけど、好きなのに、好きだから
部活の後。

二人っきり!

大ちゃんの言葉を思い出していた。

私、何で顔赤くなっちゃんだろう。

皆が冷やかすから……

きっと、そうだ。

体育館へ向かおうとすると、

「佐伯の練習終わるまで、優里亜のこと待つ」

誠が、二人っきりはやっぱり心配だと言い出した。

そして、佐伯君のシュート練習を壁に寄りかかり見ている。

空気が悪い……

佐伯君が、誠に向かって歩いていく。

座る誠の前に立った佐伯君は、誠を見下ろしている。

「気が散る」

その言葉に、誠が立ち上がる。

背の高い二人が向かい合い、いがみ合う。

「ちょっと二人とも……」

私は、二人の間に割って入った。

「佐伯。お前、優里亜のこと好きだって認めろよ」

えっ!私は、誠を見る。

「手出すなって言ったの、誠さんっすよ」

えっ!私は、佐伯君を見る。

「先輩、誠さんと帰れば」

あっ……

私は、誠を置いて一人体育館を出た。
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