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今も好き
まだ午前中なのに。


私と一枝さんは再び寝室へと行き、
私はベッドに押し倒される。



大きなベッドに、柔らかく吸い付くように体が沈んで行く。



私を見下ろす一枝さんと目が合い、何か話した方がいいのかと考えてるうちに、
一枝さんは私にキスをして来た。


この人の唇って、こんなに柔らかかったんだな、と、今、気付いたように思う。


正直、この人を好きかどうかと言われると、そこまでの気持ちはないけど。


全く、何とも思っていないわけではないのだと、思う。


本当に、この人を好きになったらどうしようかと、思ってしまった。



キスが深くなって行き、この人の舌が私の舌に絡んで来て、
それが心地好くて、段々と思考がぼんやりとして行く。


気付いたら、殆ど服を脱がされていて、
下着だけの姿にされた。



「あの、シャワー浴びたらダメですか?」


夕べ、自宅を出る前に、シャワーを浴びて来ていたけど。


ここに来てからそのまますぐに眠ったので、
もう一度、する前にシャワーを浴びたいかな。


「んー、この状況で無理。
もっと前に言ってくれたら、良かったんだけど」


一枝さんは、着ていたTシャツとスウェットのズボンを脱いだ。


そして、ボクサーパンツ一枚だけの姿になった。


殆ど裸に近い姿で、私の体に重なって来て、その重みもそうだけど、温もりも私に伝わって来る。


ブラジャーもパンツも脱がされて、
私の体を舌や指で、たくさん愛撫された。



「挿れないから、生でしていい?」


耳元で言われたその言葉に意味が分からず、え、と声が漏れた。



「実は、こないだ使ったゴムで最後で。
夕べ、紫織ちゃんの事呼んだけど、別にそのつもりで呼んだわけじゃなかったから、買いに行ってなくて」



「そう…なのですね」



つまり、今、避妊具がないって事なのか。


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