今から遡ること、三ヵ月前――。
中旬まで続いた残暑がようやく和らぎ、朝夕は少し涼しく秋めいてきた九月の最終週。
私は帰宅しようとして、偶然見つけた剛を、病院を出たところで捕まえた。


「この間の……どういうこと」


うちの病院は、東都大学の広大なキャンパスと敷地を共有している。
病院職員や出入りの業者、学生も通るレンガ畳の通りで、剛は人の耳を気にして目を彷徨わせて、最後は苦々しく溜め息をついた。


「どういうって。見たまんま」

「見たまんま、って」


不貞腐れて素っ気ない彼に、私は戸惑った。
さらに遡ること一週間前。
剛の部屋に行った私は、彼と新人の病棟看護師が真っ最中という浮気現場に遭遇した。


その時は頭が真っ白になって逃げてきてしまったけど、見なかったフリで済むことじゃない。
でも、少し落ち着いてからじゃないと、感情的に彼を詰ってしまいそうだったから、冷静になれるまで時間を置いた。
そうやって、剛が謝ってくるのを待っていたと言ってもいい。


だけど今日まで連絡はなく痺れを切らし、偶然見かけた彼を呼び止めてしまった。
正直なところ、まだ冷静を取り戻していなかったのは認める。


「浮気したって、認めるってこと?」