エリート極上男に堅物女で有名な私が何故か執着されています【完】 ~続編更新中~
幸せの中の不安
結婚を前提としたお付き合いは順調だった。
会社では、ほぼ接点なしだからバレることないから気楽でもあったし。
バレたらバレたでカミングアウトをモットーに昼間でもコソコソせずに堂々とデートしていた。
ミヲ君は海が好きみたいで水族館や浜辺での散歩などが多かった。
釣りも道具を揃えて本格的にやっていたみたいで、ついていきたいと言ったら連れて行ってくれた。
釣りだなんて初めてだったけど凄く楽しかった。
気を使って話しかけてくれるけど会話が途切れても静かに波音を聞きながらSUVのトランクに腰掛け竿を見ているだけでも退屈しないかった。
何よりも海を眺めているミヲ君は今まで見たこともないリラックスした表情を見せてくれるんだ。
その顔を横からバレないように見るのが楽しかった。
デートが終わればどちらかの家へ行って朝まで過ごすっていうのが日課になっていく。
いつの間にか私は彼のことを「ミヲ君」と呼んでいた。
ミヲ君の家は部屋がたくさんあるマンションだから、隣家と距離がある寝室で愛を育むのはいいのだけれど、私のアパートは1DKだから声を落とさなければならない。
だから必然的に彼のマンションへ行くことが多くなる。
もうその頃にはお互いのカギやパスワードを共有する中になっていた。
私の家にはないシステムでエントランスの扉を解除してエレベーターに乗り込み彼の部屋へと向かう。
「さあて、やるか」
気合を入れて買ってきた食材をダイニングテーブルにドンとのせた。
今日はミヲ君の誕生日。
料理が苦手な私だけれど、今日の為にコツコツと練習してきた。
私は彼の誕生日を知らないことになっている。
だからこうやって午後休までとって驚かせてあげようと思ったんだ。