エリート極上男に堅物女で有名な私が何故か執着されています【完】 ~続編更新中~
職場に近いところから数軒案内してもらって、一般的なアパートを借りることにした。
専務はもうちょっとセキュリティーが整ったところがいいんじゃないかって心配していたけど、そうなると家賃は一気に高騰する。
「大丈夫です、ここに決めます」
「そうですか、では大家さんに連絡とってから事務所で手続きしましょう」
「はい」
ここでまた新たな生活が始まる。
猫のひたいほどの広さしかないベランダに出て紅葉した楓の木の葉が落ちていくのを見ていた。
もうすぐ冬が来る。
ミヲ君と付き合い始めた冬がもう一度やってくるんだなって思った時、私たちの付き合いの期間の短さを改めて痛感していた。
約半年
半年しか付き合っていないのに、濃い時間だったな。
これが最後の恋だと思っていたのに、その最後は線香花火みたいな速さで散ってしまった。
「葵――――さんか」
帰り道の車の中で専務さんが小さく呟いたような気がした。