クールな御曹司は離縁したい新妻を溺愛して離さない
「ごめんなさい」

私はまた謝って足を引っ込めようとするが修吾さんは許してくれない。
交代で反対の足を持ち上げられ、右足と同じように触られ、口を当てられた。

「美波は俺の妻だろ。他の男の方が先に靴ずれに気がつくなんて悔しいよ。次からはちゃんと俺になんでも言って」

「わ、わかりましたから」

そう言うと彼は私の頭を撫でると目が合った。
先ほどの尖った雰囲気や口調は変わり、いつもの優しいものに戻っていた。

「さ、着替えに戻ろうか」

また私を抱き上げると何故か私の首元に顔を埋めてきた。
そんな仕草に驚いてビクッとしてしまうが胸の奥がぎゅっと締め付けられた。
修吾さんは何も言わずに美容室へ連れて行ってくれ、自分も着替えるために部屋を出て行った。

「奥様、お姫様抱っこがもう噂になってますよ。副社長の姿にみんなメロメロだそうです。奥様が羨ましいです」

声をかけられ改めて恥ずかしくなる。どれだけ注目を浴びてしまったのだろう。
私は顔が火照るのを感じ、耳まで熱くなった。

修吾さんが迎えにきてくれるとミュールを手にしていた。
この短時間の間に用意してくれたことを驚くが、それよりも私のことを考えてくれた気持ちが嬉しかった。
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