親にも妹にも婚約者にも夫にも恵まれなかった私ですが、公爵家令息に溺愛されて幸せになるようですよ?
6 今度は浮気症の第三王子の婚約者候補にされました


 婚約破棄から3年後、私は貴族学園に入学しました。
 そこから3年間、私は王都にある侯爵家別邸から、貴族学園に通学することとなります。

 そんな中、きっちり3年間、私を煩わせる人物がいました。

「またそんな嫌みたらしい目で見てくる! なんて女だ!」
「いやぁん、ナシー殿下ぁ、あたくし怖ぁい!」

 ことあるごとに私に絡んでくるこの二人は、ナサケナシー=ダメ=ナイトリー第三王子殿下と、アバズレー男爵令嬢です。

 第三王子は金髪と緑色の瞳の王族カラーに、太めの眉で、第二王子とそっくりの見た目をしています。
 ついでに、しなだれかかっているアバズレー男爵令嬢は、髪の色こそ赤いですが、私の妹のネタミーニャと一緒で、吊り目にメリハリボディの男ウケしそうな容姿です。女の趣味まで第二王子と一緒なのね。

 この二人は私と同学年なのですが、とにかく休憩時間毎に私の前に現れては、この三文劇を見せたがるのです。

 うざい。
 うざくて禿げそうですわ!!

 大体、アバズレー男爵令嬢は、下級貴族クラスに配属されているはずなのに、なぜ毎日、私達の上級クラスに入り浸っているのかしら。

「キャリー、あなた毎日大変ね」
「でしょう。そろそろ息の根を止めてやりたい」
「ちょっとちょっと、王族相手に暗殺計画は流石にお縄になるわよ」
「ただの暗喩よ。社会的抹殺に向けて、そろそろお祖父様に頼んで、王家にジャブ打ちしとかないとね」
「キャリーはしっかりしているわね。こんな頼もしい王子妃がいたらいいのに」
「本当にやめて」

 私は友人のジャクリーン=ジョウシキー公爵令嬢の言葉を速攻で打ち消します。

「無視するのをやめろ! 不敬罪で投獄するぞ!」
「きゃあ、ナシー様かっこいー!」

 なんだか聞き覚えがある台詞ですわね。
 やはり兄弟。発想が同じですわ。

 この国、王太子と第四王子は普通にいい人なんですけれどね……。
 なんで私と年の近い第二王子と第三王子だけハズレなんでしょう。

「第二王子と第三王子の母君もあんな感じの人だからでしょうかね」
「恥ずかしい。情けない。あんなのが兄弟だなんて、許せない……」

 私の隣でハンカチを噛んでいるのは、ハジラッティ=ダメ=ナイトリー第二王女殿下です。
 彼女も私の同級生で、クラスメート。
 言うまでもなく、その辺で暴れている第三王子とは母君が異なります。彼女はまともで厳格な王妃殿下の実子です。

 ちなみに、なぜ私が第三王子に絡まれているのかって?


 王家が無理矢理、私を奴の婚約者候補にしたからですわ。


 王太子である第一王子はともかく、第二王子以下は、父王の退位後はただの一貴族となります。
 優秀であれば、一代公爵の地位を与えられて官僚として働くのですが、優秀でない場合はそれができません。
 しかし、王子が能力に応じて下働きするというのも外聞が悪い。

 なので、能力が低い王子に関しては、私のような男性の嫡子がいない家に婿入りさせるのが、最近の王家のやり口なのです。
 大ッッッ変迷惑な話ですわ。


 なお、うちは第二王子の件があるので、当然ながら速攻でお断り申し上げました。

 ですが、王家がギセイシャー侯爵家からの断りの手紙を何度も燃やして、王命で無理矢理私を婚約者候補の一人に据えてしまっているのです。
 最初は婚約者に据えるとの王命だったのですが、第二王子の件も含め、王家のギセイシャー侯爵家に対するやり口が酷すぎると批判が相次いだ結果、候補に格下げになりました。

 周囲の皆さま、もっと責めてやって!
 婚約者候補取下げまで追い込んで!

「ねえ、ハジラッティ。あなたのとこの第三王子殿下って、学園卒業までにキャリーを口説き落とすように国王陛下直々に命じられているのよね」
「そうよ、ジャクリーン」
「じゃなんで毎日、他の女と睦み合う姿をキャリーに見せにくるの?」
「理解できないの。分からないのよ。あいつの頭の中にはゴミクズしか詰まっていないんだわ。本当に迷惑をかけてごめんなさい。誰かあいつを廃棄して……」

 震えるハジラッティ第二王女殿下に、私は苦笑します。
 第三王子の考えはいつだって分かりませんが、実の妹でも分からないのですから、私に分かるはずがありませんでしたわね。


 そしてやはりというか、奴はヤらかしてくれました。


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