午後五時前に帰宅すると、玄関で隆成さんが待ち構えていた。

「おかえり」

隆成さんの第一声はそれだった。

「……ただいま」

「昨日、千里が兄さんの診療所に着いてすぐに電話があった。いきなり千里がやって来て心配したようだ」

そういえば光一さんはあのとき、電話をしないといけないところがあると言っていた。あれは隆成さんにだったのだ。うまくごまかせたと思っていたのに、まったく信じていなかったのだろう。

隆成さんは勝手なことをした私に怒っているという雰囲気ではない。

なんとなく私の出方を窺っているようだった。

「お話ししたいので、リビングに行きましょう」

私から促し、ソファで向き合った。

隆成さんは黙って私を見つめている。

「美桜さんに会いました」

単刀直入に切り出したとき、おなかに痛みが走った。実は東京に着いたあたりから少し嘔吐感もあって、気分が優れない。

ここ数日のストレスのせいだろう。体が火照った感じがするのも同じ理由だろうか。