隆成さんは私をからかう気満々なのだろう。恥ずかしがれば彼を喜ばせるだけだと、あえて素っ気なく答えた。

「勝手に自慰でもしてろって?」

「じっ……、なに言ってっ」

「自慰くらいで真っ赤になるなよ」

「何度も言わないでください!」

うろたえる私を見て、隆成さんは楽しそうに笑う。

結局彼の思惑通りになったのが悔しかった。

「千里はウブだな。兄さんだけを好きだったから、なにも知らないままこの年になったのか」

「ばかにしないでください」

たしかに私は性的な話題にすら免疫がない。隆成さんにしてみれば、未熟な反応がおもしろいのだろう。

「ばかになんかしていない。ずっと好きな女がまっさらで最高にうれしいと言っているんだ」

ストレートな言葉をかけられ、私は勢いよく立ち上がる。

「……先に寝ます」

「ああ、おやすみ。千里。愛してるよ」

慈しむような眼差しから、逃げるようにその場を去った。

……隆成さんは悪い男だ。

注ぐ視線、紡ぐ言葉のすべてで私の心を揺さぶって、もてあそぶ。

手は出されなくても、こんなにも意識させられる。

でもそれを絶対に認めたくはなかった。