僕には、どうしても出せない色があった。

限りなく透明に近い青――彼女はそれを、インビジブル・ブルーと呼んでいた。

目に見えない青。

虚無。

虚脱。

死へと誘う魔性。

あるいは、激しいセックスの後に訪れる、まるで抜け殻のような空っぽの世界と少し似ているかもしれない。

その青には、見たものすべてを飲み込み、浄化し、無へと返す圧倒的な"引力"があった。

僕は、取り憑かれてしまった。

その色に。そしてその色の奥に宿る彼女の世界や、感覚や、光や闇に。



彼女にしか表現できなかった色。

病的なまでの青。

生と死の境界。

インビジブル・ブルー。



その色を出すためだけに、僕は今もこうして絵を描いている。

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