沢の側に古いログハウスが見えた。それはもう何年も一人で暮らしてきた我が家に違いなかった。

僕は大きく肩で息を乱し、目の前の家に一歩ずつ近づいた。

息が荒い。

心臓がまるで狂ったように激しく暴れ回っている。

僕は、肩に乗った落ち葉を払い、頬の泥を拭い取った。途端、電流のような痛みにビクリと顔を歪める。よく見れば、体中が傷だらけだった。

一歩、また一歩と踏み出すたびに、視界がグラグラと揺れて見えた。

ただ家に帰るだけだというのに、その見慣れたはずの我が家が恐ろしく遠くに感じられた。

「……レイ」

譫言のように少女の名を呼び、一度大きく息を吐き出す。

家の中からは物音一つ聞こえてこない。その静けさに、言いようもない不気味さを感じた。

ガクとレイ。

二人はきっとまだここにいる。

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