狼の遠吠えにも似たガクの絶叫を背に、僕は部屋をあとにした。

体中にレイの血がへばりつき、ゆらゆらと歩くたびに、リビングの床にどす黒い足跡が遺っていった。

僕の頭から、最期に見せたレイの穏やかな笑顔がこびりついて離れなかった。

僕は、ついに一度もレイを自分の娘として見てやることができなかった。

レイは僕の娘だ。

いくら心の中でそう思ってみても、実はこの少女はレイプ野郎の子ではないかというもう一人の僕の声が、頭の片隅から染み出してきた。

最低だ。

最後の最後まで、僕はどうしようもなく救えないクズだった。

レイは僕をパパと呼んだ。

レイは知っていたのだろうか。僕と彼女の間に何があったのかを。僕が彼女に何をしたのかを。

何もかも知った上で、それでも僕をパパと呼んだのだろうか。

その体を抱きしめて、お前だけは行かないでくれと言えたなら、少女は思いとどまったのだろうか。

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