クールなあおくんに近づきたい!〜あと10センチ、きみに届け〜

◇ホームルーム

LHRの時間。

黒板には『小豆乃島 宿泊研修』と大きく書かれ、その下には研修の目的が難しい文言で並んでいる。

「うーし、今から宿泊研修の班決めするぞー。男女3対3で6人の班を作ってくれ。よーい、どん。」

担任の寺田先生が気怠い声を出して、みんなが席を立った。

私も花乃ちゃんと2人、仲良しでバレー部の体育会系女子、姫ちゃんこと相田 姫乃(アイダ ヒメノ)ちゃんに声をかけて女子3人のグループになる。

「どうしよっかねー?」

「そりゃ狙うはあれでしょ、あれ」

そう花乃ちゃんが顎で示したのは、

近海君、木屋谷君、曽我部(ソカベ)君のグループ。

「へっ!?」

事情を知る姫ちゃんがすかさず「よーしレッツゴー!」と笑顔で拳を上げて、

花乃ちゃんも「ゴゥゴーゥ!」と笑顔で拳を上げる。

「え!ちょ!えぇ!待ってぇ!」

「善は急げだよ!寧々!」

困惑する私を真ん中に、2人ががっちり腕を組んで連行する。

「あわわわ、ちょと、ちょっと心の準備がぁ…!!」

「おーい!きやー!班組もーよー!」

大慌ての私なんてお構いなしで、姫ちゃんがバレー部仕込みの大きな声を教室の後ろまで飛ばした。
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