チューリップラブ
エピローグ
3月末の日曜日、玲央のマンションへ引っ越しをした。それまでに少しずつ荷物は運んであったし、大きなエコバッグに今朝まで使った身の回りのものを入れて終わりだ。
これまで車で荷物を運んでくれた玲央は
「自分でうちへ来いよ」
そう言い迎えに来ない。玲央らしい。彼はいつも、私が自分の意思で動いていると感じさせてくれるから一緒にいて心地よい。
エントランスでコンシェルジュさんに
「本日完全に引っ越しました。よろしくお願いします」
と声を掛けてからエレベーターに乗る。そして部屋のインターホンを押すと
「エントランスは自分で開けたのにここで鳴らすのか?」
玲央が不思議そうにドアを開ける。
「気分よ、気分…ただいま」
そう言いながら部屋に入った私を迎えたのは
「すっごい…何本あるの?」
ピンクのチューリップだった。ピンクチューリップの花言葉…愛の芽生え、誠実な愛。西洋ではcaring(気遣い、思いやり)attachment(愛着、執心)happiness(幸福)…そして99本…永遠の愛。
[完]