だめんずばんざい
勢揃いした!





両家の顔合わせはNinagawa Queen's Hotelの懐石料理店でということだった。

「ご贔屓ホテルってことなの?」
「さあ…多分ね。他にも使うホテルや料亭はあるけど、最近ばあちゃんがNinagawa推しみたい」

ガクトと朝食中に私のスマホが鳴る。

「途中でごめん…」

そうガクトに断ってから

「おはよう、奏太。朝からどうしたの?」
‘うん、おはよう。あのさ、今日は仕事じゃないのわかっているけど、この間電話もらったサンプル持って行った方がいいかと思って。サンプルは2パターン作ってる。五百旗頭さん、忙しいなら平日にアポ取るより、とりあえずサンプルは今日渡した方が効率いいだろ?’
「そういうこと…ちょっと聞いてから折り返していい?」
‘頼んだ’

すぐに食事に戻ってガクトに聞いてみる。五百旗頭組の株主総会出席者への手土産を本当に奏太に注文してくれるらしく、先日ひとつ当たりの予算を伝えてあったのだ。

「今日持って来てもらったら早いね。あとで俺が電話しようか?」
「持って来てってメッセージだけで大丈夫でしょ?」
「兄弟ってそんなもんだよな…うん、カオルちゃんが言っておいて」

皿に落ちたピザトーストの具を手で掴みながら言うガクトに

「ふふっ、ちょっと乗せすぎた?」
「料理している気になって調子に乗ったからね」
「初めては適量がわからないもんだよ」
「うん。でも美味しくて腹持ち良さそうで気に入ったよ、俺」
「また一緒に作ろうね」

私が具材をカットする隣で、彼は好きなだけそれらをトッピングしてからチーズを乗せて‘自分で作れた’とご満悦なのだ。可愛い。

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