央さんと奥さんは、同期入社らしい。
 奥さんは入社した時には、大学院に進学したご主人を支えてあったということで、二人は学生結婚だったということだ。

 央さんは日本の大学を出た後、留学をしたりしていたので、実際は奥さんより三歳年上だった。
 初めて会った時から、今とあまり印象が変わらず、何を考えているかわからないが、そのルックスとシャープな頭、本当によくモテていたとのことだ。
 ただ、会社の女性から告白されても、社内恋愛は面倒だと言って、それらの話には一切乗ることがなかったらしい。

 ある時、奥さんが学生時代の友人と飲みに行ったバーで、女性連れの央さんに偶然会ったことから、二人は近づいた。
 央さんの相手の女性は、その日バーで声をかけてきた人で、ワンナイトラブの相手だった、、、と奥さんは言った。

 そういう話を、私に聞かせたいのか、奥さんの視線が私を時々面白そうに捉える。

 誘ったのは自分だ。
 奥さんは言った。
 央さんが好みだった。と。
 自分は結婚しているから、決して面倒なことは言わない、と央さんはわかっていたのだろう、何回目かの誘いでそういう関係になったと。
 
 会社で怪しい素振りを見せることもなく、個人的な連絡先を交わすこともしなかったと。
 ただ、会いたい時は、社内電話でいつも使っているホテルのルームナンバーを、告げるだけ。

 ホテルの部屋で待ち合わせて、ホテルの部屋で別れる。。。

 「しょっちゅう、逢っていたわけではなかった。
 てるの相手は私だけじゃなかったしね。後腐れがない女には不自由していなかったと、思うわ。。。
 私もそんな女の一人。。。ただ、他の人と違うのは、私がベット以外のてるの顔を知っているというくらい。

 暗黙のルールは、てるのプライベートに突っ込まないこと。
 私はてるが住んでいるところはおろか、電話番号も何も知らなかった、、、」