熱く甘く溶かして
再会
 恭介はいつも通りの朝を過ごしていた。席についてから、コーヒーを飲みながら今日の予定を確認する。

 すると恭介めがけて男が走ってくる。それが誰なのか、どんな理由で恭介の元へ来るのかも分かっていたから、恭介は思わず大きなため息を漏らす。

「おいっ! 聞いたぞ篠田!」

 昨日は合コンだと豪語していた一年上の先輩の松尾が、すごい剣幕で恭介の机を叩く。見た目は爽やかな好青年だが、空手をやっていたらしく、暑苦しい性格が難点だった。

「沙織ちゃんと別れたらしいじゃないか……昨日の合コンに沙織ちゃんが来ててびっくりした……というか、なんでおれは同じ部署で毎日一緒にいるお前じゃなくて、先月別れた元カノから知らされてるんだよ!」

 肩を掴まれた上、ブンブン振り回されて目が回りそうだった。

「いや、別に言うほどのことじゃないかなぁと思って。ほら、僕たちは会社に仕事しに来ているわけですし」
「……お前、そんなこと言って、俺に言うといろいろ詮索されるから面倒とか思ってるだろ」

 言葉に詰まる。図星だった。恭介はため息をつくと口を開いた。
< 2 / 111 >

この作品をシェア

pagetop