不妊の未来

第三章


○婦人科クリニック培養室(朝)

私服からネイビーのトップス、白いパンツのユニフォームに着替えた茉由。

培養室で採卵の準備をすすめる。

茉由「はぁ」

ため息を吐く茉由。
それを一緒に準備していた中途採用の胚培養士の三崎杏菜が気がついた。


杏菜「鷲尾さん、体調でも悪いんですか?」


杏菜は茉由の様子を伺うようにして聞いた。
茉由は慌てて笑顔を浮かべる。


茉由「大丈夫だよ。ごめん、朝からため息なんて吐いちゃって」

杏菜「体調に問題ないならいいですけど」


杏菜は手を動かしながら質問を重ねた。


杏菜「なにか悩み事ですか?」

茉由「悩み事、か」

茉由はため息混じりに杏菜の言葉を繰り返し、昨夜のことを思い出す。

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