離縁するはずが、冷徹御曹司は娶り落とした政略妻を甘く愛でる
7 自分の妻に片想い 忍side
◆自分の妻に片想い 忍side





 中東からやって来るのは、世界一ラグジュアリーだと言われている高級ホテル、『ホテルジュメイラ』の経営者、アハメッド氏だ。

 もともと石油で財をなした富豪で、近年リゾートホテルの経営にも乗り出した。

 親日家の彼は日本進出の計画を立てており、パートナーとなる企業を探している。

 ホテルジュメイラのアジア初のホテルができるとなれば、日本だけでなく世界から旅行者がやってきて、その一体は一大リゾート地になるだろう。

 いくつものデベロッパーが手を上げ商談を持ち掛けてはいるが、どこの企業も苦戦していた。
 
 その原因は、アハメッド氏の気難しくこだわりの強い性格のせいだ。
 
 どんなに綿密な企画を練り丁寧なプレゼンをしても反応は鈍く、一向に首を縦に振らないらしい。
 
 俺は執務室で資料を読みながら、大きくため息をついた。
 
「そんな相手を自宅に招待するなんて……」
 
 アハメッド氏は家族とともに来日していて、今週末我が家にやってくる予定だ。
 
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