お前を奪い返す〜俺様御曹司の独占欲が燃え上がる
第一章 一人で生きると決めたのに
俺は神野隼斗、三十歳、神野ホールディングス社長である。

そして、副社長は俺の弟、神野健斗、二十六歳。

この会社は俺の親父が立ち上げた。

そして、ニ年前病気で入院することになり、俺が社長を継いだ。

お袋は俺が十八の時、病気で亡くなった。

その後、親父は弟を連れ子の現在のお袋と再婚した。

弟は当時十四歳の中学生だった。

生意気盛りで、手を焼いた。

「兄貴、兄貴はいつもチョコをいくつもらうの?」

俺は彼女と別れたばかりで、そんなことに答える余裕などなかった。

「チョコには興味ない」

「そうなんだ、もしかしてモテないとか」

うるせえよと心の中で叫んだ。

「兄貴さあ、彼女に振られたのか」

図星をつかれた俺は、それこそ大きなお世話だとイライラを募らせていた。

「俺の友達紹介してやろうか」

「断る、しばらく彼女はいらない」

そして俺は社長に就任するまでの十年間一人だった。

さらに現在も一人だ。

十八の時に振られて、その後は面倒で彼女を作る気持ちになれなかった。

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