貧乏大家族の私が御曹司と偽装結婚⁈
4.婚約者の憂鬱
……っで。

いきなり婚約者になってしまった主任は、いきなり「婚約者らしく振る舞うぞ」と言い出したわけで……。

ホテルから出ると、「歩いて次に向かう」と言われて、私はそのあとをついて行ったのだけど、外に出ると立ち止まった。

「手を出せ」
「手、ですか?」

私は両手を広げて挙げて見せると、主任は呆れたように「そうじゃないだろ。こうだ」と私の右手を取った。

「ひゃい⁈」

唐突に手を握られ、変な声を出す私を見て主任はまた笑いを噛み殺すとそのまま歩き出す。

「口先だけだとすぐバレると言っただろう。それらしく見えるように練習だ。それとも、3歩下がって慎ましやかに歩くのがお好みならそうすればいいが?」

私を揶揄うように顔を寄せて主任は小さくそう言う。

「え、あ、いえっ! 大丈夫です!」

顔が熱くなるのを意識しながら私はそう返すと、主任は体勢を元に戻した。

「一矢とでも手を繋いでると思えばいい」
「……小学生の頃の話なんですけど?」

もしかして、主任は私を小さな子どもだと思っているのだろうか。まぁいいや。そのほうが気楽だ。変に意識しなくて済むし。
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