猫かぶりの柳沢くんは、独占欲が強め
▲王子(?)▲
*
「香田さん、数学のノート出してもらっていい?」
「あ、うん。遅れてごめんね」
授業ノートを集めていた係の男子に、私はお礼の意味を込めて微笑んだ。
だけどすぐに、「あ、やってしまった……」と思う。
私の近くにいたクラスメイト数人が、ざっと一気に私の方を見て、
そのうちの何人かが、マイナスイオン……癒し……なんて呟く。
最近、私が笑うたびにこうなんだよな。何とかならないかな……。
「今日も絶好調だね、葉澄!さすがはマイナスイオン出してる系女子!」
後ろからポンっと背中を叩かれた。
振り返ると後ろにいたのは、にやにやした笑みを浮かべた私の友達、なっちゃん。
「もうさ、名前からしてマイナスイオン出てそうだもんね。“葉”に“澄む”なんて」
「なっちゃんまで……マイナスイオンマイナスイオンって、人を滝みたいに言わないでよ」
初恋が散ったあの日から約一年。
髪を伸ばしたり、慣れない化粧を研究したり、ダイエットにも励んだりして、見事高校デビューを果たした私、香田葉澄。
「香田さん、数学のノート出してもらっていい?」
「あ、うん。遅れてごめんね」
授業ノートを集めていた係の男子に、私はお礼の意味を込めて微笑んだ。
だけどすぐに、「あ、やってしまった……」と思う。
私の近くにいたクラスメイト数人が、ざっと一気に私の方を見て、
そのうちの何人かが、マイナスイオン……癒し……なんて呟く。
最近、私が笑うたびにこうなんだよな。何とかならないかな……。
「今日も絶好調だね、葉澄!さすがはマイナスイオン出してる系女子!」
後ろからポンっと背中を叩かれた。
振り返ると後ろにいたのは、にやにやした笑みを浮かべた私の友達、なっちゃん。
「もうさ、名前からしてマイナスイオン出てそうだもんね。“葉”に“澄む”なんて」
「なっちゃんまで……マイナスイオンマイナスイオンって、人を滝みたいに言わないでよ」
初恋が散ったあの日から約一年。
髪を伸ばしたり、慣れない化粧を研究したり、ダイエットにも励んだりして、見事高校デビューを果たした私、香田葉澄。