やり直しの人生では料理番の仕事に生きるはずが、気が付いたら騎士たちをマッチョに育て上げていました。 そしてなぜか、ボディビルダー王子に求愛されています!?
12
「ああ、すみません。つまらない話をしてしまって」
ニコラが、照れくさそうな顔をする。いいのよ、とビアンカは言った。
「その話、聞けてよかったわ……。じゃあ、明日からはまた、私がイレーネ様のお食事作りをするわね。これまでありがとう」
「とんでもないです、奥様」
(え……?)
ビアンカは、思わずニコラの顔を見つめていた。彼自身も、ハッとした顔をしている。
「いえ! ビアンカ様、ですよね。失礼しました……。なぜだろう? 自然と、口に出ていたのですよ」
ニコラは、首をひねっている。
「なぜだか、前にもビアンカ様に、労っていただいたことがあった気がするのですよねえ……。以前、お目にかかりましたか?」
「ビアンカを、口説かないでいただこうか」
不意に、澄んだ声が響く。振り返れば、厨房の入り口に、ステファノが立っていた。ニコラが、焦った様子でかしこまる。
「いえ、決してそのような……!」
「冗談だ。だが、ビアンカも長旅で疲れているであろうからな。そろそろ、返してもらおうか」
ステファノが、ビアンカの肩を抱く。口調は優しいが、有無を言わせぬものがあった。
「はい、失礼をいたしました!」
ニコラが、平謝りする。一緒に厨房を出ると、ステファノはビアンカに微笑みかけた。
「妹君の婚約披露パーティーはいかがだった? 楽しめたか」
ニコラが、照れくさそうな顔をする。いいのよ、とビアンカは言った。
「その話、聞けてよかったわ……。じゃあ、明日からはまた、私がイレーネ様のお食事作りをするわね。これまでありがとう」
「とんでもないです、奥様」
(え……?)
ビアンカは、思わずニコラの顔を見つめていた。彼自身も、ハッとした顔をしている。
「いえ! ビアンカ様、ですよね。失礼しました……。なぜだろう? 自然と、口に出ていたのですよ」
ニコラは、首をひねっている。
「なぜだか、前にもビアンカ様に、労っていただいたことがあった気がするのですよねえ……。以前、お目にかかりましたか?」
「ビアンカを、口説かないでいただこうか」
不意に、澄んだ声が響く。振り返れば、厨房の入り口に、ステファノが立っていた。ニコラが、焦った様子でかしこまる。
「いえ、決してそのような……!」
「冗談だ。だが、ビアンカも長旅で疲れているであろうからな。そろそろ、返してもらおうか」
ステファノが、ビアンカの肩を抱く。口調は優しいが、有無を言わせぬものがあった。
「はい、失礼をいたしました!」
ニコラが、平謝りする。一緒に厨房を出ると、ステファノはビアンカに微笑みかけた。
「妹君の婚約披露パーティーはいかがだった? 楽しめたか」