闇の総長はあたらよに運命の姫を求める
エピローグ
 ザザァー……ザザァー……と、波の音が聞こえる。

 目の前に広がる海は、闇に呑まれて恐ろしささえある。

 でも、闇に生きる者となった私は前ほどの恐怖は抱かなくなっていた。

 夜目が利くようになって、多少は見えるからというのもあるだろうけれど。


「恋華、寒くなって来た。そろそろ帰るか?」

「うん」


 櫂人にうながされて、私は差し出された手を取った。

 一通りのことが終わり、落ち着いてきた今。

 何となく櫂人と出会ったこの浜辺に来たくて連れてきてもらったんだ。


 十二年前ここで櫂人に出会ったときから、きっと私の運命は決まっていたのかもしれない。

 運命としか思えないような偶然が重なって、私は今吸血鬼として櫂人と共に生きているから。
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