ツンデレ王子とメンヘラ姫のペット契約

居酒屋

三人は居酒屋に着くと、さっそく一杯目を頼んだ。

「おつかれ」と勢いよく乾杯すると、和真のビールの泡が若干溢れた。「ほら、タオル」とひなこがタオルを渡すと「ありがと」と言って、すぐに机を拭いた。

そして三人は本題とばかりに、「で、あのイケメンさんとはどうですか?」と佳音が言うと、「かなりいい、結婚したい」とひなこが言うと、「まだ早いだろ」と不機嫌に和真が言った。ひなこは「だって、美織はもう結婚してるんだよ?」と言うと、「それとこれとは別だろ」と和真はビールを飲みながら言った。

ひなこは「佳音こそ、あの体育の先生はどうなったんよ」と聞くと、佳音は「青葉先生(あおばせんせい)のことですか?」と自分の番が来たとニコニコしながら言った。「順調ですよ」と言うので、ひなこが、「でも前、既婚者の美魔女に手出してたらしいじゃん」と訳知りに言った。

佳音は「それは噂なので、知らないですよー」と言った。ふわふわ答えるので「こいつ大丈夫か?」と思うが、こんなのでも、何人とも付き合うかなりのやり手なので、何も言えない。一人くらい分けてくれたっていいじゃないかと思うが、それはそれで嫌だなと思い直したのであった。

ひなこはふと、そろそろ小日向さんに連絡してみようかなという気分になり、今度送ることにした。

スマホを見ながらひなこが愛おしそうにニコニコしているので、和真は「俺がいるだろ」と小さく呟いたが、その声はひなこには届いていなかった。
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