もっと求めて、欲しがって、お嬢様。
②
「でっ、みんなはどこまで進んでるの!」
とある休日。
親友であるクラスメイトの寮に集まったのは、柊 エマとエマのお姉さんである柊 アリサさんと、私───九条 理沙の3人。
執事である碇には留守番を命じて、エマの執事の早瀬さんは自室で待機中。
楽しいティータイムにしては踏み込みすぎるエマの質問に、思わず紅茶を飲もうとしていた動きが止まってしまった私。
「ど、どこまでって…あんたはどうなのよ」
「えーっとねえ!ハヤセが格好良すぎてっ、きゃーーってなって、ひゃーーってなって、うわーーっ!ってなるとこまでっ!!」
「……ごめんね理沙ちゃん。相変わらず大変な語彙力の妹で」
「…いえ。エマはいつもこんな感じですから、もう慣れました」
そう言いつつも、姉であるアリサさんはそんな妹が可愛くて仕方ないのだろう。
エマの頭をそっと撫でては優しい顔をしていた。
「でもさあっ、碇すごかったよね…!あの舞踏会の日!!」
その名前が出るだけで、私の胸はトクンッと跳ねる。