干物のミカタ ~副社長! 今日から私はあなたの味方です!~

乱される心

「本日は、お集まりいただき、ありがとうございます」

 担当者のアナウンスと共に、説明会が始まった。

 内容は当初聞いていたものとさほど変わらず、集まった五社の中から見積もりの段階で数社に絞られ、最終的にはプレゼンで一社に決定するというものだった。

「見積もりのフォーマットは、本日中にご担当者宛にメールでお送りいたします。締め切りも記載しておりますので、ご検討の上ご提出下さい」


 美琴は“極秘”と書かれた資料を手に取りページを開く。

 そこには、この冬公開予定のアニメ映画の大まかな概要が記載してあった。


「森に住む少女と、水使いの少年の出会いと成長の物語……かぁ」


 美琴の中にあの渓谷の木々のざわめきと、滝を流れる水の音が響く。


「なんか、概要を読んだだけでも素敵なお話ですね。テーマが自然だから、グリーンの業者に声がかかったのかな?」

 美琴はほほ笑みながら副社長を見上げる。

「そうですね」

 副社長は、優しく美琴を見つめながら頷いた。
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