俺様社長は純情な田舎娘を溺愛する
ここ1か月、この日の為に必死で働き業績を上げ、新店舗を軌道にのせ、尚且つ新商品の開発に取り組み、その間に雑誌の対談をこなしかなり無理したスケジュールだった。

どうにか年末までに間に合って、契約まで漕ぎ着けたのに、果穂に嫌われたら全てが崩れ去る怖さを感じた。

果穂との事を今よりもっと強固な仲になりたいと心から思う。

今夜は1人帰らず残り、土日をこの場所で果穂と過ごすつもりでいる。

帰り際、果穂の父に
「後で、改めて果穂さんの事でご挨拶に伺いたいと思います。」
と、そっと伝える。

果穂の父は電話の時と同じ様に穏やかで心の広い人だった。

ニコニコと笑って頷いてくれる。
「是非、夕飯食べに来てください。」

「あ、ありがとうございます。」
思わぬ誘いに戸惑いながら頭を下げる。

車に戻り、タクシーで駅に戻るみんなに「お疲れ様」と告げ、
「俺はこっちでホテル取ってるから。」
と雅也に言う。

「だと思ってたよ。駅までは送ってよね。」
ひとまず借りたレンタカーに2人乗り込み駅まで向かう。

「果穂ちゃんどうした?来る事話してなかったのか?」

「びっくりさせようと思ったのが裏目に出た。」
苦笑いする。

「わだかまりは取れたのか?」

「ああ、とりあえずは。
果穂を失ったら生きる意味さえ失うとこだった…。」

「マジか……それはいくらなんでも大袈裟だろ?」

「そのくらい俺の中で彼女の存在意義は大きい。」
< 104 / 219 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop