ひとりぼっちのさくらんぼ
第三話
数日が経って。
高田くんも坂崎さんに何か言われたのかな?
高田くんが話しかけてこなくなった。
休み時間がまた、暇な時間に変わる。
放課後。
図書室に行った。
『孤独な月をあなたにあげる』を返却するために。
図書カウンターにいたのは、細い三つ編みの髪型が印象的な女子だった。
カウンターに近寄る。
てっきりこの人もあたしを見てビクッと怖がるか、嫌なものでも見る目をするかと思っていたけれど。
女子はそのどちらの反応も見せない。
「返却ですか?」
女子はまっすぐにあたしを見て、尋ねた。
「あ、はい」
なぜかこっちが気後れしてしまう。
「……あ、この本……」
本を渡すと、女子はあたしと本を、ほんの一瞬の動作だけど、交互に見つめた。
「あの、何か問題がありましたか?汚したりはしていないと思うんですけれど」
不安になって、丁寧に話しかけた。
あたしも本を見つめる。