罰ゲームで私はウソの告白をされるそうです~モブ令嬢なのに初恋をこじらせているヤンデレ王子に溺愛されています~
06 最低な気分です
リナリアは、ボロボロとこぼれる涙を手の甲でぬぐいながら、学園内のガーデンを歩いていた。こんな顔で馬車の待合室に行くとケイトや他のクラスメイトに驚かれてしまう。
生徒がいないほうへ歩き続けると、「おい」と後ろから声をかけられた。
リナリアがビクッと身体を震わせて振り返ると、見たくもない赤髪が見えた。元凶のサジェスが偉そうにこちらを見下ろしている。
「お前、いっつもどこにいるんだよ!? ずっと探して……」
サジェスはハッとなって「泣いてるのか?」と聞いてきた。その言葉がおかしくて、リナリアは涙を流したまま鼻で笑う。
「そう、泣いているの。貴方のせいでね」
「俺のせい? なんの話だよ!?」
「カードゲームで負けたらモブ女を口説く、だったっけ?」
サジェスは、その言葉で目に見えて狼狽えた。
「確か、ウソで口説いて私が惚れたらふって恥をかかせるのよね?」
「うっ」
「ひどい罰ゲームだわ」
「あれはっ!」
反論しようとしたサジェスを、リナリアは睨みつけた。
「貴方のお望み通り、私は騙されて恥をかいて泣いているわ。これで満足?」
「なんだよ、それ……。お前、誰かに騙されたのか!?」
サジェスがこちらに右手を伸ばしたので、リナリアはその手を叩き落した。
「さわらないで。貴方なんか大っ嫌い。二度と私の前に現れないで!」
ぼうぜんと立ち尽くすサジェスに背を向けてリナリアは歩き出した。一人になりたいのに、なぜかサジェスが一定の距離を空けてついてくる。
「何?」
睨みつけるとサジェスは気まずそうに視線を逸らした。
「その、悪い。罰ゲームのこと。まさか聞かれているとは思っていなくて」
「本人に聞かれていなかったら、何を言っても良いと思っているの?」
「そうじゃなくてっ!」
サジェスは赤い髪を乱暴にかき乱した。
「その、こっちにもいろいろ事情があるんだよ!」
「貴方の事情なんて興味ないわ。ついて来ないで」
サジェスにムカつきすぎて、気がつけば涙が止まっていた。この時間なら、お迎えの馬車も来ているはずだ。
馬車が来るほうへ歩き出したリナリアに、サジェスは何かを言いたそうについてくる。
「これ以上付きまとったら、ケイトに言うわよ」
そう言うと、ようやく付いてくるのを止めた。
(本当に、今日は最低な一日だったわ)
オルウェン伯爵家の紋章がついた馬車に近づくと、なぜか馬車の御者が慌てていた。
「リナリアお嬢様!」
「何かあったの?」
御者は「それが……」と言いながら馬車を見た。誰も乗っていないはずの馬車には、なぜか内側にカーテンがかかっている。
「誰か乗っているの?」
「はい……中でお嬢様をお待ちの方が……」
伯爵家の馬車に勝手に乗り込むなんて失礼にもほどがあるが、それができてしまうほど、相手は高位の貴族なのかもしれない。
「分かったわ。あとは任せて」
御者は馬車の扉をノックすると、戸惑いながら扉を開けてくれた。カーテンのせいで顔は見えないが確かに誰かが乗っている。
(いったいなんなのよ、今日は……)
リナリアは覚悟を決めて馬車に乗り込んだ。
生徒がいないほうへ歩き続けると、「おい」と後ろから声をかけられた。
リナリアがビクッと身体を震わせて振り返ると、見たくもない赤髪が見えた。元凶のサジェスが偉そうにこちらを見下ろしている。
「お前、いっつもどこにいるんだよ!? ずっと探して……」
サジェスはハッとなって「泣いてるのか?」と聞いてきた。その言葉がおかしくて、リナリアは涙を流したまま鼻で笑う。
「そう、泣いているの。貴方のせいでね」
「俺のせい? なんの話だよ!?」
「カードゲームで負けたらモブ女を口説く、だったっけ?」
サジェスは、その言葉で目に見えて狼狽えた。
「確か、ウソで口説いて私が惚れたらふって恥をかかせるのよね?」
「うっ」
「ひどい罰ゲームだわ」
「あれはっ!」
反論しようとしたサジェスを、リナリアは睨みつけた。
「貴方のお望み通り、私は騙されて恥をかいて泣いているわ。これで満足?」
「なんだよ、それ……。お前、誰かに騙されたのか!?」
サジェスがこちらに右手を伸ばしたので、リナリアはその手を叩き落した。
「さわらないで。貴方なんか大っ嫌い。二度と私の前に現れないで!」
ぼうぜんと立ち尽くすサジェスに背を向けてリナリアは歩き出した。一人になりたいのに、なぜかサジェスが一定の距離を空けてついてくる。
「何?」
睨みつけるとサジェスは気まずそうに視線を逸らした。
「その、悪い。罰ゲームのこと。まさか聞かれているとは思っていなくて」
「本人に聞かれていなかったら、何を言っても良いと思っているの?」
「そうじゃなくてっ!」
サジェスは赤い髪を乱暴にかき乱した。
「その、こっちにもいろいろ事情があるんだよ!」
「貴方の事情なんて興味ないわ。ついて来ないで」
サジェスにムカつきすぎて、気がつけば涙が止まっていた。この時間なら、お迎えの馬車も来ているはずだ。
馬車が来るほうへ歩き出したリナリアに、サジェスは何かを言いたそうについてくる。
「これ以上付きまとったら、ケイトに言うわよ」
そう言うと、ようやく付いてくるのを止めた。
(本当に、今日は最低な一日だったわ)
オルウェン伯爵家の紋章がついた馬車に近づくと、なぜか馬車の御者が慌てていた。
「リナリアお嬢様!」
「何かあったの?」
御者は「それが……」と言いながら馬車を見た。誰も乗っていないはずの馬車には、なぜか内側にカーテンがかかっている。
「誰か乗っているの?」
「はい……中でお嬢様をお待ちの方が……」
伯爵家の馬車に勝手に乗り込むなんて失礼にもほどがあるが、それができてしまうほど、相手は高位の貴族なのかもしれない。
「分かったわ。あとは任せて」
御者は馬車の扉をノックすると、戸惑いながら扉を開けてくれた。カーテンのせいで顔は見えないが確かに誰かが乗っている。
(いったいなんなのよ、今日は……)
リナリアは覚悟を決めて馬車に乗り込んだ。