無趣味なニセモノ令嬢は、乙女な騎士の溺愛に気づかない

01. ニセモノ令嬢と乙女騎士

 

「ニセモノのあなたより、私の方がグレッグ様を幸せにできるわ」


 先日そう言った彼女が、婚約者のグレッグの胸に顔をうずめている。信じられない気持ちで見ていると、グレッグの腕が彼女の背中にまわろうとした。彼女は私の方を見て、ニヤリと笑っている。


 その瞬間、私は弾かれたように2人に背を向け走り出した。曇っていた空は暗い雨雲に変わり、私の頬を雨粒が濡らしていく。


(いつから……? だってこの前の夜会も、その次の日もいつもどおりだったのに)


 2人がいつからこんな関係になっていたのかわからない。私は原因を探るように、ほんの数日前の日々を思い出し始めていた。


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