愛していますよ、だから幸せになってくださいね!

晩餐会2

「……王妃様にも同じようなことを言われましたわ。わたくしの人生ですからわたくしが考えて出した答えです。人生は長いのですからどう言う選択になろうとも、わたくし自身で責任を取りますわ。失礼ながらわたくしは王女殿下に何か失礼なことを致しましたか?」


 ハッキリと聞いた。相手に攻撃をされる前に聞いておきたかった。この国の伯爵令嬢ごときが言ってはいけないことでしょうけど、もう心は南の国へ嫁いでますもの。
 
 私を馬鹿にすると言う事はウェズリー様に対しても同様の事です。


「ジュール殿下の事よ! 散々誑かし捨てたくせに変わり身の早さに驚いているの。自分だけ他国に逃げるなんて驚いたわ」



「幼い頃から王宮に出入りさせていただき殿下と親しくさせていただいておりました。それは事実です」

「認めるのね!」


「わたくしは身分の低さから殿下をお慕いしていても結ばれる事は出来ませんもの。身を引くのは当然のことですわ」


「だから逃げたの?」


「はい。国にいては迷惑がかかると思いましたから単身叔母の家へ身を寄せました。元より王妃様からは殿下に婚約者ができるまでの出入りが許されていたのですから、遅かれ早かれそうなっておりましたわ」


「ジュール様が体調を崩されて、平気だったの?」


「それは存じ上げませんでした。わたくしはわたくしのことで精一杯でしたから。婚約者がいらっしゃるのに私のような身分違いのものがお側にいる事は出来ませんもの」


「よくも。まぁ、よく喋る口ね……身分違いというのならウェズリー殿下とも身分が違いましょう?」


「はい。わたくしもそう思っておりましたが、南の国ではそうではないようです。そして両国の陛下も婚約を認めてくださっていますし問題はないかと」


「生意気な口を! あなたなんて帰ってこなければよかったのに!」


 手がわなわなと震えワイングラスを床に落とした王女殿下。お酒に呑まれているのかもしれませんね。

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