最愛の人と最高の結婚式を、あなたへ
1995年 4月4日

分娩室に、まるでラッパのような大きな声が響く。それは、新しい命が誕生した瞬間だ。

「おめでとうございます!元気な女の子ですよ」

助産師が産まれたばかりの赤ちゃんを抱き、汗まみれで荒くなった息を整えている母親に赤ちゃんの顔を見せにいく。赤ちゃんの顔を一目見た母親は、驚いた顔をした後、こう言い放った。

「何このブサイク!こんなブスが私の子どもなんて、信じられない!」

祝福の温かい空気に包まれていた分娩室は、一気に温度が冷えていく。産婦人科医も、助産師も、誰も何もいうことができず、赤ちゃんを新生児室へ運ぶことにした。

分娩室を助産師が出ると、スーツを着た男性が勢いよく走ってくる。額には汗が浮かび、前髪が張り付いていた。この赤ちゃんの父親だ。仕事で立ち会えなかったのだ。

「産まれたんですね!顔、見せてください!」

ゼエハアと息を吐きながらも、嬉しそうな顔をしながら父親は言う。助産師は期待を抱きつつ、「元気な女の子です」と言いながら赤ちゃんを見せた。
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