見つけたダイヤは最後の恋~溺愛は永遠の恋人だけ~
最高の誕生日
2月に入って間もない今日は私の誕生日。

先月、伊織から「来月の乃愛の誕生日、平日だけど休める?」って聞かれたから、有給申請をして取らせてもらった。

後から「乃愛の誕生日だからお祝いしたいんだ」って言われて、すごく嬉しくて、ずっと楽しみにしてたんだ。

誕生日が来るのをワクワクして待つなんて、子どもの時以来じゃないかな、ふふふ。


でも今日のスケジュールは、私は何も聞かされてない。
聞いてもニヤニヤして「内緒。当日言うから」としか言われてなくて。

お休みするということは、おいしいランチを食べに行くとかショッピングとか、日中のデートみたいな感じしか想像つかないんだけど…ふふ、楽しみ。




ゆっくりめの朝食を食べ終えると、伊織に「出掛けるから支度するよ」と言われた。

「あっ、どんな服装がいい?」

「ん?普段のでいーよ。あ、強いて言えば脱ぎ着しやすいのがいいな」

「ぬっ、脱ぎ着!?」
…出掛け先で何をする気…?って思ってたら顔に出てたみたいで。

「ふ、そういうんじゃないよ。脱がすのは夜にするから」
ってとりあえず否定された。

それじゃ…と選んだのは、お正月に横浜へ着ていったベージュのワンピ。
可愛くてお気に入りだし、脱ぎ着もしやすいし。

「あ、それにしたんだ。ん…やっぱ可愛いなー」
着替えた私を見て満面の笑みの伊織に抱き締められる。

そう言う伊織はいつものラフな感じではなくて、黒のスリムなパンツにグレーのワイシャツ姿。

「伊織も大人っぽくて…カッコいい…」
見慣れない姿にドキドキして、私もぎゅっと抱きついた。

「あー…こんな可愛い乃愛にそんなこと言われるとずっとこうしてたくなるな……あーたまらねぇ………けど、今日は出掛ける!なんたって愛しい乃愛の誕生日だからな」

伊織は諒さんに会った時に言っていた通り、以前よりも更に愛を伝える言葉が増えた。
そして、麻依さんが言っていたように、私もそれが幸せだと思うんだ。

「うん。…でもどこに行くの?」

「それは着いてからのお楽しみ」

「まだ内緒なんだ。ん、わかった。楽しみにしてる」

伊織がそう言うなら悪いようにはしないはずだもん。
嬉しくてニコニコして言うと、また抱き締められた。

「あー…やべぇ…可愛いすぎんだけど。キスしまくりたいんだけど。もー…どーしてくれんの、乃愛」

「え、あーえっと…んっ」

「…だからさ、その一転して真面目な顔するのさぁ…それ可愛いからやめて…」
伊織が私の肩に顔を埋める。

「はぁ…やべぇ……乃愛の可愛さに悶えてたいけど…出掛けないとな。おっと、その前に…」

伊織が私の左手をそっと持ち、婚約指環を薬指に嵌めてくれた。

何度見ても、キラキラと輝くダイヤには心を奪われる…ずっと見ていても飽きないくらい。

でも伊織が手の甲にキスを落としたことで、我に返る。

「じゃあ行こうか、俺のお姫様」

そんな言い方をされたのは初めてで…恥ずかしくも嬉しくてにやけちゃった。うふふ。
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