戦国遊戯
***** 政宗's View *****

俺の腕に抱き寄せられているこの娘は、どこか他の娘や、ましてや姫君達とは違っていた。

戦闘中のあの真剣な眼差しに、戦いに対するあの反応と嗅覚。馬術だって問題ない。

そして、今まで見てきたどの娘とも違ったあの顔つき。農作業だけでは得られない、あの締まった体つき。


玲子が嫁に来てくれれば、俺は、安心して城を任せて戦に出ることができる。

「玲子」

声をかけると、玲子の体がびくんと反応した。


この反応。これも他の娘とは違っていてなかなか面白い。


「お前は、好いた男はいるか?」

聞くと、玲子は困ったように首を傾げていた。そんな玲子を、自分に向き合うような形で座りなおさせる。

「いないのか?」

聞くと、玲子の顔は真っ赤になっていた。明かりのせいかとも思ったが、玲子の目が宙を泳いでいる。

「その、好きかどうかとか、よくわかんないっていうか」

まずまずの手ごたえといったところか。
政宗はふむ、と頷き、質問を変えた。

「じゃあ、気になる奴は…居るのか?」

言うと玲子が慌てふためいて、じたばたとしていた。


やはり面白い。


くつくつと笑う政宗を、玲子は不審そうな目で見た。

「くくっ、悪ぃ。で、その気になる奴ってのは誰だ?」

にやっと笑って政宗に聞かれて、玲子は困惑した表情を見せる。
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