虹色サイダー
そして真っ直ぐ立った御仁に異様な目で見られる、そりゃそうか。



「そういやお名前は継虎さんだっけ?」



自分も服を脱ぎ捨てて聞いてみる、隠すべきかどうか迷ったけど、隣の御仁がこうも堂々としているのなら、逆に隠す方が可笑しい気がするから不思議だ。



「ああ。お前は」


「あ、俺は大乃ってーの。変な名前だろ? ダイでいいよ」



本当親はどうかしてると思う。


産まれて名前を考えるとき、蜜柑があったからって人の名前を「だいだい」にするとは。



「儂も虎で構わん」



それに比べたら「虎」だなんてかっこいい名前だ。



了解の意思を告げ、風呂場のドアを開けると、案の定というか期待通りというか、虎はちょっと怪訝な顔をした。



「蒸し風呂じゃないんだ、まあ家で湯治するようなもんかな」



毎日湯に浸かるような文化じゃないんだよな、特に驚いたり感心したりする様子はないけど、やっぱ違和感はあるんだろう。



「あ、髪も洗おう。ほどきなよ」



……なんか会話だけ聞かれたら嫌だと思ってしまう自分が嫌だ。


 
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