狐面の主人




―――



【おい、帯、歪んでるぞ。】


「えっ?あぁ…大変…っ!」



一通り、自己紹介も終えた二人(一人と一匹)は、五穂の新しい着物の着付けをしていた。

五穂が着て、雨珠が後ろからチェックするというものだ。


あまり時間を掛けては、炎尾が待ちくたびれてしまうかもしれない。





「………雨珠さん……。」


【んぁ?】



五穂が歪んだ帯のまま、肩の上の雨珠に話し掛けた。


「この御屋敷…何かあるのですか…?

炎尾様も…皆さんも…狐の能面を被って……。」



すると雨珠は、目を丸くした。


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