猫が生まれた日
愛してる

あたしが言われたくない言葉
トップテンに入る。

『あいしてる』

愛してるより
100の『すき』が欲しいと思った。

『君を愛してる』

『あたしのこと何も知らないくせに』

このやり取りをして、ああ
そういうことか、と思った。

例えば
あたしが誰かの柔らかい髪を
愛しい、と思ったとして
それは『あなたの柔らかい髪が好き』
であって『あなたを愛してる』
にはならないんだってこと。

あたしを愛してるという君が
あたしの何を見ているのか
あたしはそれが知りたいんだ。

あたしの好きなところを
一つ一つ挙げて疲れ果てて
『もう駄目だ。きりがないよ』
そう言って欲しい。

あたしにとってそれは
『愛してる』と同義。

あたしは、結局のところ
自分に自信がないんだね。

あたしには
自分でさえ好きになれない
嫌なところが沢山ある。

君にはそれが見えているの?

飽きっぽいあたしを
君は好きだと言ってくれる?

君がまだ知らないあたしを
いつかの未来
君は好きだと言ってくれる?

全部、全部見ても
あたしを愛してる?

あたしは怖いんだ。

君の知らないあたしが
まだいないあたしが
君の見るあたしの縁を
『あいしてる』
で囲わせないんじゃないかって。

『あいしてる』は辛い。
『あいしてる』は怖い。
失うことを考えてしまうから。

『あいしてる』と言われて
あたしの想いが冷えるのは
失う前に手放してしまいたいから。

誰かが言った。
『死ぬ前に一度だけなら言ってもいい』
きっとそれだけで十分だ。

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