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「葵が泣くような事があったら許さないからな」

その晩、市橋の家に着いてすぐに言われた言葉。まだ玄関で、靴もはいたままなのに。

言ってるのは透。
仕事から帰ってきてすぐなのか、スーツ姿のままで仁王立ち。

「ちょっと…透。何言って…」

慌てて間に入る私を制して、恭汰は真面目な表情で一歩前に出ると

「葵さんを幸せにするし、泣かせる事はしないから。…葵さんと結婚させて下さい」

と、透に頭を下げた。

深々と腰を折る恭汰の横で、私はどうしようかとおろおろするばかり。
透は透で、そんな恭汰をじっと見つめながら、かすかに手が震えていた。