エレベーターに乗り込み14階の会議室に向かいながら、抱えた書類を確認していると、恭汰がファイルをいくつか持ってくれた。
事務的な声で

「ありがとうございます」

軽く振り返れば、怪訝そうに眉を寄せる恭汰。

そんな目で見ないで欲しい。
まるで私を気遣っているような表情で見ないで欲しい。

彼女と今晩から一緒に過ごすのに、わたしの事は考えなくていいのに。

「あお…仁科、なんかあったか?」

「いえ、何もありませんけど?」

少し語尾を上げて、まるっきりの作り笑いで言うと、一瞬開いた瞳は、すぐに細められて、いたずらする前の子供のように笑いが浮かんだ。

「ま、打ち合わせ頼むわ」

14階に着いて、扉があくと、恭汰はさっさと降りて行った。

後に続いて歩きながら、ロビーのガラスケースに納められている模型を見る。