ほどよい愛
「仁科さんが、お酒に酔った姿って見たことないですね」

「……まぁ、そんなに弱くないから」

「そんなにじゃなくて、全然ですよ」

「……。かわいくないって言いたいのかな?」

聡がグラスいっぱいに注いでくれたビールを一気に飲み干して苦笑い。まぁ、女でお酒に強いとかわいいとは思われないよね。

「酔わせて落としたいって思っても無理。そこは、かわいくないですね」

更にグラスにビールを注ぎながら、聡は溜息。

「まぁ、俺の落としたい女は、そっちで既に意識落ちてますけど」

「え!?」

聡の視線の先には、私の隣りで、テーブルに突っ伏して寝てる斉藤杏奈。私の同期で、部長秘書をしている。既に乾杯のビールで気分はお花畑。今は夢でも見ているはず。

「杏奈…?」

「そうですよ。まだなんにもアクション起こしてないですけど、俺の次の個人プロジェクトは、杏奈さん陥落プロジェクトです」

「聡…。君なら大丈夫でしょ。今年の一番人気くん。……って言いたいとこだけど、杏奈は難しいよ。次付き合う人とは結婚前提って言って相手の条件高いもん」

「わかってます。噂で聞いてましたから。それでも杏奈さんが欲しいんです」

「欲しい!?」
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