また恋をした、その時に。



□□□


「目、開けちゃダメだよ?」


風が心地よい───

カラッとはしてないけど
秋のような清々しい風が
頬に当たる。


男の人にしては小さめな背中。

彼の肩をしっかりと掴み、
そのあたたかそうな背中に
腕をくっつける。




───今、リクと
自転車の2人乗りをしている。

なに、この展開は。


「………まだ開けちゃダメ?」


「ダメ。あともう少し。
今日は見えるかな〜?」


自転車は左に曲がる。

すると、大きな国道に出たようで


沢山の車が
行き交う音が聞こえた。

「いいよ。開けても。」



ドキドキドキ・・・・・

目を開けたら
何が待っているんだろう。

心臓の鼓動は更に早くなった。


緊張した面持ちで、ゆっくりとまぶたを上げると───
< 27 / 368 >

この作品をシェア

pagetop